以上のように、成年後見制度は認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分となっている方を支援する制度となります。
すでに判断能力が衰えている方のために、家庭裁判所が適切な支援者(後見人等)を選ぶ制度です。選ばれた支援者は、本人の希望を尊重しながら、財産管理や身のまわりのお手伝いをします。 法定後見制度には、「後見」、「保佐」、「補助」という3類型があります。本人の判断能力のレベルに基づいて決定し、支援者に認められた業務範囲が広いものから順に、後見、保佐、補助となっています。
法定後見制度の類型は、医師の診断書や医師の鑑定結果に基づいて裁判所が判断します。審判が下りるまでにかかる期間はケースバイケースですが、一般的には3~4か月程度といわれています。
将来、自分の判断能力が衰えたときに備えて、あらかじめ支援者(任意後見人候補者)を選び、将来の財産や身のまわりのことなどについて、「こうして欲しい」と、具体的な自分の希望を支援者に頼んでおくことができる制度です。「任意」とは、「自分で決める」という意味です。
このように、任意後見制度は、万一のときに、「誰に」、「どんなことを頼むか」を「自分自身で決める」仕組みなのです。任意後見人は複数でもかまいませんし、法人がなることもできます。
法定後見制度の申し立てに必要となる書類の作成や添付資料の収集などの一連の手続きを弁護士に一任することができます。ご家族は、自分自身の仕事や本人の介護に追われてしまい、こうした書類の準備をうまく進められないケースもあると思います。
法定後見制度の申し立てに関する知識や経験が豊富な弁護士に一任した場合には、申し立てがスムーズになり、問題が起こるリスクも抑えられます。
また、任意後見制度においても、任意後見契約に関する一連の手続きを弁護士に一任することができます。
親族や親友など本人と関係が深い方ではなく、後見人等には、法律の専門家である弁護士などに依頼すること(申立ての際、後見人候補者となること)も可能です(但し、法定後見において、決めるのは、裁判所となります。)。
たとえば、
相続(遺産分割協議等)の際には、親族間でトラブルが起こることも予想されます。しかし、弁護士が成年後見人になれば、法律や法的知識に基づいた主張ができるため、不当な取り決めによって本人が不利益を被る事態を防ぐことができます。
その他にも、様々な事情によって、親族間に利害の対立があることも多々あることかと思います。そのような場合、第三者である弁護士が、法律や法的知識に基づき、本人の利益を最大限図ることができます。